生命保険は死亡時に設定した金額をいつでも受け取ることができます。交通事故の裁判などで、医者が亡くなったときと、フリーターが亡くなったときの賠償金額が違うという話も聞きますが、生命保険は自分が加入したときの設定金額が支払われる仕組みなので、働き盛りの40代で亡くなっても、80歳で亡くなっても補償金額が3,000万円であれば、3,000万円が支払われます。
しかし、火災保険の場合は少し違います。火災保険の支払い基準は「時価」か「新価(再調達価額)」という2つの基準があります。
◆「時価」と「新価」の違い
時価基準とは、新築のときは新しくて売っても高く売れるけど、建物が古くなると価値が下がるため受け取る保険金額も減るという仕組みです。そのため、古くなって築年数が経った家が火事で全焼しても、そのときの家の価値の金額が支払われるだけで、立て替え費用には足りないこともあります。
新価基準の場合は、火事で燃えてしまった家とおなじレベルの家を再築(再取得)するための費用を受け取れる仕組みになっています。
現在販売されている火災保険は新価基準になっていますが、2001年4月以前に契約した長期契約の保険は時価基準も多いので、保険証券を確認して見直した方が良さそうです。
◆火災保険の見直し
先ほど説明した「時価」と「新価」で見直しをしたほうが良いという話をしましたが、他にも特約や基準価格での見直しもしたほうが良いでしょう。
家を購入すると、火災保険をまとめて一括で支払う人もいると思いますが、そういう方は一度見直しをしたほうが良いでしょう。
例えば、家を購入したときに30年の火災保険に100万円支払って、そのときの家の再取得価格が2,000万円の評価だったとします。そして、15年経ったとき、建築費が安くなって現状の住宅の再取得に1,500万円しかかからないとします。すると、火事で家が焼失してしまっても、保険金額は1,500万円しかもらえません。ということは、500万円分の保険料は払いすぎてしまっていることになります。なぜなら、最初に当時の2,000万円の評価の保険料としてすでに100万円支払っているからです。これは、申し出れば払い戻しされます。
逆に、2,000万円で契約していても、建築費の値上がりなどで再取得価格が3,000万円になっても2,000万円しかもらえないので、やはり見直しが必要です。
5年程度を目安に見直しをすると良いでしょう。
◆別のシンプルな保険に入り直す
住宅を購入するときには、いろんな情報が一気に入り、また時間的制約があることも多く、ローンのことや家具選びや家の設計やオプションなどの打ち合わせで保険に関してはとりあえず加入したという人も多いと思います。
まずは、自分の保険を確認することが一番です。そして、要らない特約がたくさん付いた保険で、保険料が高くなっている場合は、別のシンプルな保険に入りなおして保険料を安くするのも1つの手段です。
その際には、一度住宅のリスクについて検討してみましょう。
例えば、マンションの上の階を購入したのに、浸水の特約がついていたり、建物が免震住宅になっていたり、耐震性能に優れた住宅の場合には手厚い地震保険を考えなおしてみるのも良いかと思います。
おすすめは、一度住宅のある地域のハザードマップを取り寄せてみることです。市区町村の役場に聞けばもらえると思います。ハザードマップには、浸水危険エリアなど過去の災害からどこが危ないかなどの予測が地図に落とし込まれているので、住んでいるエリアのリスクを確認するのに便利です。
リスクを再確認した上で要らない補償を外したシンプルな保険に入り直すことで、保険料が安くなったり、一括払いをしていた場合は、保険料が返還されたりします。