「保険は一生涯保障がつく終身が安心!」と考える人が多くいると思います。もちろん保障が一生涯続けば安心でしょう。
しかし、保障が一生涯続くということは、それだけ保険にかける費用が増えるということです。
そこで、医療保険は一生涯続くものが良いのかどうか考えました。
◆医療保険の保障内容は契約時の内容から変わらない
公的な医療保険である健康保険は時代に合わせて変わっていきます。例えば、現在先進医療に含まれている項目は、治療効果が認められるとわかれば健康保険に適用できるようになる可能性が出てきます。公的な健康保険は時代に合わせて変わっていきます。
現在の医療費は自己負担が3割ですが、高齢者が多くなり医療費の国家財政支出が増えてくれば自己負担の比率が増えるかもという変化も考えられます。しかし、現在の民間医療保険はすべての診療をカバーできているわけではなく、そもそも健康保険とは仕組みが根本的に違うので、健康保険の自己負担比率が上がっても現在のままの民間医療保険では、まかなえない範囲が多く、そのときには民間医療保険の保障内容も変わるでしょう。
民間医療保険は契約時の内容がすべてです。現在はがん治療が大変だという認識ですが、将来がんは簡単な薬を飲むだけで治ってしまうようになるかもしれません。そのようなときに、現在の医療保険がどこまで役に立つでしょうか?
◆入院期間が短くなる
医療保険やがん保険のCMで「入院日額◯◯円」と聞いたことがある方もいると思いますが、最近では医療費が逼迫していることもあり、政府の方針で病院に対して入院日数を減らすような方針になってきています。
がん治療でも入院せず通院で治療が行われたり、入院日数を短くして在宅医療を増やそうとしています。入院しないともらえないような保険でしたら、給付金がもらえず保険の意味がなくなってしまいます。また、通院でも給付金がもらえる保険商品でも、一度入院してからの通院が対象となっている場合がありますので、注意してください。
◆将来の物価は予測できない
入院すると一日5,000円もらえるといった定額の給付金には、20年後、30年後にその価値がどの程度かわかりません。今30歳の人が終身の医療保険に入って、70歳のときに入院して給付を受けたと考えると、40年後です。40年後には5,000円の価値はどうなっているんでしょうか?
今では5,000円あれば買えるものが、将来はインフレで買えなくなっているかもしれません。保険は長期間の契約なので、景気動向の変化には弱いというのはこういうことです。
そう考えると終身型の医療保険より、1年更新の共済や10年定期の医療保険の方が時代にあわせた商品で無駄がないように思えます。