先進医療と言うと最先端の治療なので、何百万円もする莫大な費用がかかって、治療費を捻出するのが大変というイメージがありますが、実際の費用を知るとそういった治療は少数であることがわかります。
先進治療だからってすべての治療費が高額であるとは限らないのです。
さらに、先進医療はどこでも受けられるわけではなく、治療内容によって治療を受けられる施設が限られていることも知っておいてください。
◆先進医療の実際の費用
保険会社のパンフレットを見ると、「先進医療は何百万円もかかって高額!」というようなことが書いてありますが、治療費が250万円〜300万円程度と高額になるのは「重粒子線治療」「陽子線治療」「腫瘍脊椎骨全摘術」の3種類で、これらはすべてがん治療です。
この3種類以外はほとんど50万円以下です。がん以外の先進医療は7割が10万円未満で、99%が50万円以下です。先進医療は何百万円もかかるというのは、保険会社が作り上げたイメージのような気がします。保険の営業のセールストークでもよく聞きますし。
◆「陽子線治療」と「重粒子線治療」
近年、治療効果が高く、体への負担の少ない新しい放射線療法として注目されているのが、これらはすべてのがんに適しているというわけではありません。例えば肺がん、前立腺がん、喉頭がん等については治療効果が良いようですが、胃がん、大腸がんといった動く臓器では粘膜に照射すると潰瘍ができやすいことや、白血病のような体全体に広がるがんについては局所的治療が効かないことから向いてないようです。
◆先進医療は受けられる医療機関が決まっている
陽子線治療を受けられる病院は9ヶ所です。(平成26年3月時点)
・福島県 南東北がん陽子線治療センター
・茨城県 筑波大学陽子線医学利用研究センター
・千葉県 国立がんセンター東病院
・静岡県 静岡県立がんセンター
・兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター
・福井県 福井県立病院 陽子線がん治療センター
・鹿児島県 財団法人メディポリス医学研究財団
・愛知県 名古屋陽子線治療センター
・北海道 北海道大学病院陽子線治療センター
重粒子線治療を受けられる病院は5ヶ所です。(平成26年3月時点)
・千葉県 重粒子医科学センター病院
・兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター
・群馬県 国立大学法人群馬大学医学部付属病院
・佐賀県 九州国際重粒子線がん治療センター
・神奈川県 神奈川県立がんセンター(2015年開設予定)
先進医療の医療費は保険から支払われても、治療が受けられる病院が家から遠ければ、交通費や滞在費が別途かかるので、そちらも考える必要があります。
・《先進医療について①》混合診療と先進医療とは?
・《先進医療について②》先進治療の実際の費用と受けられる病院は?
・《先進医療について③》先進医療を受けられる人は?