損害保険とはもともと長い航海で嵐にあったりして、船と一緒に積荷が沈んでしまったときのためのリスク回避として開発されました。そして、その後、火災保険や自動車保険などのより身近な保険に発展していきました。
◆損害保険と生命保険の違い
生命保険も損害保険も何か事故があったときに損害を補填してくれるものですが、生命保険が補償するのは「人の命」であり、人が亡くなったときに保険金が支払われるのが基本です。それに比べて損害保険の補償の対象は「モノの損害」です。
◆保険金の支払いの違い
生命保険と損害保険は保険金の支払いにも違いがあります。生命保険は人が亡くなった場合にはかけられた保険金が全額支払われますが、損害保険では実際に生じた損害を超えない額しか支払われません。これは「利得禁止の原則」と呼ばれています。
生命保険は人の命に対して、「この人は亡くなったら1,000万円を支払う、この人は医者だから1億円支払う」というように金額を替えることはなく、あくまで支払われるのは実際にかけた保険金の金額です。
しかし、損害保険では実際の損害以上の補償は出ませんので、2,000万円の家が火事で燃えても5,000万円支払われることはありません。もし、そんなことが出来てしまったら、高い保険金をかけて家を燃やしてしまう人も出てくるでしょう。
損害保険はあくまで実際の「損害」を補償します。しかし、人の命に保険会社が値段をつけることはできないので、生命保険の保険金は加入者が決められることになっているのです。
損害保険の商品は大きく分けると「物的保険」「人的保険」「賠償責任保険」に分けられます。
◆物的保険
偶然の事故によって発生した「モノの損害」を補償する保険です。
例えば、火事になった家の補償をする「火災保険」、事故を起こして壊してしまった車両を直す「自動車車両保険」、盗られてしまったものを補償する「盗難保険」、などの保険があります。
◆人的保険
事故による「人に生じた損害」を補償する保険です。
自動車事故で、一緒に乗っていた搭乗者のケガを補償する「搭乗者傷害保険」などがこれにあたります。
◆賠償責任保険
偶然の事故による「保険加入者が負った法律上の賠償責任による損害」を補償する保険です。
例えば、マンションで水漏れを起こしてしまったときの、下の階の損害の賠償責任を補償する保険や、子どもが他人の車にいたずらをしたときの賠償責任を補償する保険などがあります。
また、仕事における賠償責任を補償する保険も増えていて、会社役員賠償責任保険や専門職業人賠償責任保険、最近では個人情報漏えい保険など事業者の業務上の賠償責任を補償するものなどの新しい保険がどんどん開発されてきています。